山内グループ 九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)      

研究テーマResearch


       
  
  持続可能な社会を実現するには、CO2排出を抑制し、かつ、エネルギーを効率よく循環させるシステムとして、我々は、輸送および貯蔵のコストがかからない液体燃料をエネルギー媒体とし、CO2の排出なしに再生可能エネルギー由来の電力を循環させる”カーボンニュートラル・エネルギー(CN)サイクル”を提案している。例えば、燃料としてアルコールを用いるばあい、高選択的にカルボン酸に酸化することができれば、CO2の排出なしに発電することができる。また、酸化廃棄物であるカルボン酸を再生可能エネルギー由来の電力を用いて還元することでアルコールを製造すれば、高効率の蓄電が実現される。この、発電と蓄電を組み合わせることで、CO2フリーの再生可能電力の循環が可能となる。
  
  我々は、はじめに、沸点が高く、蒸気圧が低いエチレングリコールをエネルギー媒体とするCNサイクルの開発に取り組んだ。我々の提案するCNサイクルでは、燃料電池を使ってエチレングリコールを高選択的にシュウ酸に酸化することで、CO2の排出なしに発電する。
   我々がPt触媒上でのエチレングリコールの酸化反応の生成物を調べたところ、非常に高い選択率でエチレングリコールをその4電子酸化生成物であるグリコール酸まで酸化することがわかった。エチレングリコールを8電子酸化反応の生成物であるシュウ酸まで酸化するには、触媒表面との相互作用を増大させることが重要であると考えられる。我々は、エチレングリコールの水酸化基(OH基)を触媒に接近させるために、酸素との親和性の高いFe族金属に着目し、種々のカーボンに担持されたFe族ナノ金属触媒(Fe/C, Co/C, Ni/C, FeCo/C, FeNi/C, CoNi/C)の開発を行い、液相化学還元と水素還元を組み合わせた2ステップ方とよぶ新規のナノ合金作成法を開発した(図1)。さらに、作成されたFeCo/C触媒をアルカリ燃料電池のアノードとしt用いることで、エチレングリコールからの発電にも成功した(図2)。ここで、エチレングリコールのC2化合物への選択率は99%であることがわかった。これは、CO2の発生なしにエチレングリコールから発電した初めての例である(Sci. Rep., 2013)。

















バナースペース

I2CNER
触媒的物質変換研究部門

山内グループ
グループリーダー:山内美穂

yamauchi@i2cner.kyushu-u.ac.jp